――『Facebook』の画像も無断で転載されたということですが。
本白水:許可してなかったということですね。匿名という条件で情報提供をしていたのですけれど、1月21日になって記者から、「今日にも政府から発表がある。その時にちゃんとしたプロフィールがなければ、週刊誌とかメディアがめちゃくちゃなこと書きますよ」という提案があったのです。それでプロフィールも渡していました。
――結果としてその約束は破られてしまったのですが、記者からは説明があったのでしょうか?
本白水:21日の23時過ぎに日揮から叔父が死亡したという連絡があり、菅(義偉)官房長官の記者会見で7名の死亡が発表されて、名前は公表されないということになり、私たちは「よかった」と安堵していたのです。
すると、午前1時過ぎに記者から突然、トリミングした画像が添付されて「確認をお願いします」というメールが来ました。それで「何を言っているんだ」とびっくりして。その後すぐに記者から電話がかかってきたのですが、私は約30分の間「名前を出さないでくれ」と懇願しました。「官房長官が名前を出さないで守ってくれたにも関わらず、私が出したら自殺行為だ。親族全体に追い打ちになる。このタイミングで(実名を)出すのはおかしい」と。
――それに対して記者からはどのような答えだったのですか?
本白水:「説明不足だった。認識の違いがあったのかもしれない。名前を出すことで存在したことを知らしめることになる」と。私からは全部拒否しました。すると彼は「頭に血が上っているので電話を切ってもいいですか」というので「あなたにも親や家族がいるだろう。人間の心をもってよく考えて」と伝えました。次に電話が来たのが2時30分ごろで「結論からいうと出しました。デジタルの方は写真と名前は消しました。私に出来ることはそこまでです。叔父さんを貶めるようなことは書いていないです」という事後承諾でした。
――それに対してどのようにお答えされたのですか?
本白水:「私が何を言っても変わらないなら電話を切らせて頂きます」と。それでブログに書いて、TwitterやFacebookで拡散していったという流れです。
――その後、朝日側からの連絡は?
本白水:ブログ公開後に記者の上司から1時間おきにしつこいくらい電話が来て「お会いして事情説明させてほしい」と。それで「どういう状況なのかメールを下さい」というと、「認識の違いがあったかもしれない」という記者と同じ回答のメールが届きました。それで「そういう認識ではお会いしたくありません。あれほど政府と日揮の発表があるまでは実名と写真は出さないとお願いしたのにどういう理由なのか。約束を破ったことを認めて謝罪をして下さい」と返しました。朝日新聞本社に抗議文を送りウェブ上にアップした後には、広報から今も頻繁に電話がかかってきます。
――とにかく本白水さんとお会いしたいと。
本白水:謝罪がないのであれば会う意味がないので、「お会いしたくない」とお答えしています。でも、私としてはこの事実が広がればそれでいいと考えています。おそらく新聞社が謝罪することはないと思いますし、何の解決にもならないですから。せめて謝罪文でも書いてもらえれば多少は憤りもおさまることはあるかもしれませんが、おそらくないでしょう。
”- アルジェリアテロ被害者実名報道事件・本白水智也さんインタビュー「メディアに情報を渡すと、誰にでも起こる問題」 - ガジェット通信 (via yukiminagawa)